怒りというより、虚しさ、恥ずかしさ。
テレビでオリンピックの開会式を見ていて、
何かの感情に似ていると思った。
以前勤めていたブラック企業に対する感情だ。
その会社の提供するサービスやポテンシャルに
魅力を感じて入社した。
しかし実際入ってみたら
社長はピークをとっくに過ぎた
「老害」と呼べるような人で、
社員は振り回されて疲弊している。
その会社はある分野では
トップシェアを誇っていたので
遺産に頼って威厳を維持しているだけ。
新サービスを企画したり
改善案を提案したりしても
偉い人により前例がないなどと却下されることが多発し、
ユーザーではなく
「会社の偉い人が満足する」ことが基準となっていた。
もちろんそんな状態では
仕事のやりがい、楽しみなど感じられるはずもなかった。
能力のある人からどんどん辞めていき、
会社にしがみつくことしかできない人ほど残るという
負のスパイラルが続いていた。
社員のモチベーションは低下し、
これまでの仕事をこなすだけの状態。
社長や会社の偉い人の悪口を言うことで
謎の一体感を作り出している。
そんな時に
新しいプロジェクトの話が舞い込んだ。
久しぶりの大きな仕事で
会社の魅力を世にアピールできる
またとないチャンスだ。
しかし気が付けば有能な人は社内にはいない。
みんな外に出て行ってしまった。
どうする。
本来であればここが
壊れかけた絆を築きなおし
また一からやり直すチャンスだった。
でも、やっぱり変えられなかった。
社員はもうすでに
新しい、素晴らしいサービスを
提供する気力がないし、
新しいサービスはどうせ叩かれると分かって挑戦できない。
偉い人たちは
やっぱり社長の機嫌をとるだけの
サービスしかGOを出せない。
そしてその他の社員たちはというと
何もせずただ不満を口にするだけだった。
できたサービスは中途半端で
なんの新しさも魅力もない。
社員たちは「やっぱりね」と
諦めと恥ずかしさを感じ、
また虚無の日常へ戻っていく。
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よくある落ち続ける企業の光景かと思うけど、
昨日テレビでオリンピックの開会式を見ていて
同じことが今回起きたように感じた。
あの開会式やその前からの騒動を見て
手放しで「素晴らしい! さすが日本だね!」
と心から喜べる人は少ないのではないかと思う。
偉い人たちだけが悪いというわけではなく、
私たちもその状態を作り出している要因となっているということ。
ここで私たちが選択できることは
1.会社をやめる(国外で暮らす)
2.会社をなんとか良くする
3.会社は諦め不満を抱えながら続ける
の三択になるように思う。
もし1の国外逃亡の選択肢がないなら
2か3になるけど、
2の「良くする」はすぐにできることでもない。
全体が一致団結することが必要になるけど、
それには偉い人だけでなく私たちも変わる努力が必要なのだ。
そういったことを考えると
3の「諦め」を選択してしまうのは
残念ながら現実として一番楽なことだ。
希望を感じられず、安い給料で
不満を漏らしながら働き続ける。
私たちはどうやって生きていくのか。
決めるのは私たち自身だということ。
少なくとも国に頼って生きていける、
なんとかしてくれる時代は終わった
ということだけははっきり分かった日になった。
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